知事・市長のスピーチ原稿は職員が作っているという事実(意外と知られていない公務員の仕事)

仕事内容
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テレビやイベントなどで知事や市長(以下、首長と言う)が壇上で冒頭挨拶を述べている光景を見たことがあると思います。

実はこれ、職員が考えたものと知っていたでしょうか?

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首長の挨拶文を作る仕事

私が公務員になってすぐの4月、ほぼ最初の仕事がこれでした。

まだ右も左も分からない中で、同僚から

「来月開催されるイベントで首長の挨拶があるから、去年に倣って挨拶文を作成して」

と言われました。

「挨拶文?」と不思議に思いましたが、そこで同僚から説明を受けて初めて、首長の挨拶文は職員が予め作成したものということを知りました。

共有フォルダを見てみると、年度ごとにフォルダがまとめられており、前年度のフォルダを確認すると「挨拶文」というタイトルのワードファイルがありました。

ファイルを開くと、挨拶文の全文が完璧に入力されており、「この台本どおりに喋っていたのね・・」と正直がっかりしました。

今まで首長の挨拶についてそれほど意識したことが無かったのもありますが、首長は有権者から選ばれた賢い人ということだけあって、当然自分の言葉で喋っているものかと思っていたからです。

一方で、地方行政といえど多岐にわたる問題に取り組んでおり、確かに首長といえどすべての詳細を常に完璧に覚えていて、的を得た内容を喋るというのも困難だということも理解できました。

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挨拶文完成までの道のり

挨拶文作成の作業としては、基本的には前年度の物をベースに、その当時から変わった事実などを修正したり、新しい内容に変えたりします。

ここが担当者の一番の役割であり、自治体がその年度に特に力を入れている内容を追加したり、最新の時事問題の内容を盛り込んだりと、極力昨年度とは異なる内容に修正をします。

なぜなら、当日に首長の話を聞いている傍聴者から、「あれ、この話、去年と一緒じゃない?」と思われることを避けるためです。

しかしイベントの内容によっては去年から特に変わったことが全く無いものもあり、担当者としては一番苦労するところです。

挨拶文案が完成したら、決裁を取得するために起案して係の中で回覧し、上司にも回すのですが、その際に何も内容を変えていないと「もうちょっとアレンジしようか?」などと言われかねないからです。

一方で、自分なりに一生懸命アレンジしても、最終決裁に至らない途中の上司からバッサリ修正を受けることもあります。

もちろんこの決裁過程では内容のみならず、文法や誤字脱字、“てにをは”もすべてチェックを受けるため、気を抜いて作成をすると赤ペンだらけで起案が返ってくることもあります。

ちなみに民間企業出身でこのような決裁に慣れていなかった私は、初めの起案で赤ペンの修正を喰らいまくってしまい、恥ずかしい思いをした記憶があります・・

そのような形で課内の決裁を取得するのですが、私の自治体で首長の挨拶文を作成するときは、秘書課まで決裁を回す必要があります。

秘書課では挨拶文の専門担当のような方がいて、首長の最近の挨拶の言い回しの癖や、お気に入りのフレーズなどを把握していて、首長の目線でチェックをしてくれます。

これが面白いもので、課内で何回も赤ペン修正を受けて完成した挨拶文がものの見事に再修正を喰らい、原形の無い状態で返ってくることも多々あります。

「課内で何回も修正させられた意味なかったじゃん・・」と言いたくなってしまいますが、これが担当課の仕事なので仕方ないと今では割り切っています。

このようにして完成した挨拶文は、イベントの数日前に首長に渡されます。

イベントの内容によっては「レク」といって、課長や係長が首長のところへ事前説明をしにいくケースや、レクはせずに挨拶文を渡すだけといったケースもあります。

そうして渡された挨拶文を首長は暗記して、当日、さも自分の言葉のように大衆の面前で喋るのです。

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民間企業に勤めていたときの記憶

公務員になって挨拶文を作るという仕事に驚きましたが、私が民間企業にいた時も一度、社長が取引先に出すレターの文案を作成した時のことを思い出しました。

私は大手のメーカーに勤めていて、社内に事業グループがたくさん存在していたため、「社長」という存在はかなり遠い存在でした。

重要な取引先が来訪してくる際も、普段は顔を見せない事業グループ長が顔を出すこともありましたが、一番トップの社長が出てくることはまずなかったです。

しかし一度だけ、私が担当していた海外の取引先の副社長が来訪することになった際、たまたま当時の社長が興味を示して、当日出席するということになりました。

その来訪日前の1週間は社長に説明する資料の準備などで大変でしたが、当日は何とか無事にうまく商談を終えて、後日、その副社長から感謝のレターが届きました。

社長に見せなければと思い、普段やり取りしない秘書グループ宛にレターを転送したところ、秘書グループから「返信案を作成してくれ」と言われました。

当時の私は「なぜ社長宛の手紙の返信案を秘書グループが考えないのか?秘書グループは何のために存在しているのか?」と思いましたが、確かに取引先との事業内容を一番知っているのはこちらであるため仕方ないと思いなおしました。

この記憶が蘇り、「民間でも同じようなことをやっていたんだな」と思いました。

ただ、商談時に社長が話す挨拶の原稿を作ったことは一切ありませんし、当日は社長自らの言葉で挨拶をしたので、その準備の程度は民間と公務員は異なるのだなと感じました。

考えてみると、商談では当事者同士しかその場に存在しませんが、首長がスピーチするような場には不特定多数の人がいるケースが多く、失言も一切許されない環境のため、その点は仕方ないかとは思います。

おわりに

以上、首長の挨拶文作成という仕事の紹介も含めて書かせていただきました。

ただ、必ずしも原稿どおりに喋らない首長も存在しますし、そのような方は原稿すら作成していないかもしれません。

大阪府の吉村知事など、テレビで喋る姿を見ていると、すべて自分の言葉で喋っているように見えますし、元大阪府知事・大阪市長の橋下徹氏の動画をYOUTUBEで見ても、議会の時ですら原稿を読まず自分で考えた内容を話しています。(なぜか大阪に偏ってしまいましたが、意図はありません・・)

一方で私の自治体の首長は、基本的に原稿どおりに(またはせっかく書いていたことも忘れて飛ばして)喋るため、どうしても自分の言葉で話している首長と比較してしまいます。

さて、あなたの希望転職先の首長は、いったいどちらのタイプでしょうか・・

 

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