日本のメーカーはもう中国・韓国に勝てないのか(大手メーカーを退職した理由)

メーカー
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皆さんが電化製品を選ぶ際は、中国・韓国メーカーより日本メーカーのものを選ぶのではないでしょうか?

しかし近い将来、その常識が変わってくるかもしれません。

私は公務員になる前は日本のメーカーに勤めていましたが、日本メーカーの限界を感じて退職しました。

この記事では、私の転職経緯も含めて、日本のメーカーの未来について紹介します。

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私が転職した理由

別の記事でも紹介しましたが、私は以前勤めていた会社に将来性が感じられずに転職しました。

大手のメーカーでしたが、私が入社する年に数千億円の赤字が発生しました。

それによって給与削減やボーナス半減なども行われました。

さらにリストラも行われて人員が減ったものの、仕事の数は減らずで、社内は大変な状況でした。

赤字の原因は為替影響など様々でしたが、その後も最終的には競争力の無さが原因で、一向に業績は好転しませんでした。

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価格力・品質力・技術力

メーカーの競争軸としては、価格力・品質力・技術力の3要素あります。

私はBtoBの電子部品を取り扱う企画部門に所属したので、社内でそれらすべてを見てきました。

そしてお客様(企業)とも会うことが多かったため、競合他社の動向も伺っていました。

内部と外部の両方を見聞きした上で、次第に競合である中国・韓国のメーカーに絶対に勝てないなと確信するようになっていきました。

中国・韓国メーカーの台頭

商品は精密機器だったため、少し前までは日本メーカーしか作っておらず、最近になって中国・韓国メーカーが参入してきたという感じです。

品質が非常に重要視されていたため、”中国・韓国メーカーは安いけど品質が悪い”という理由で、日本メーカーを選んでくれるお客様が当時ほとんどでした。

しかし、徐々にお客様たちが中国・韓国メーカーをポツポツと使い始めるようになりました。

最初のうちは「まあ、そのうち気付いてまたウチに戻ってくるでしょう」といったくらいの感覚でした。

しかしだんだんと時が経つにつれ、「そういえば最近、全然受注できていないんじゃないか?」と、社内がざわつき始め、営業からお客様全部に意見を聞くことにしました。

結果、ほとんどのお客様が「中国・韓国メーカーの方が安いし、レスポンスも早く、品質も良い」という回答で唖然としました。

しかし気付いたときには遅く、その後も新規案件では中国・韓国メーカーに価格で負けて、次々と失注していきました。

さらには現行モデルの品質でも文句を言われるようになってきました。

では、なぜ中国・韓国メーカーがそこまで優れていたのでしょうか?

価格力の違い

人件費

まず価格を決める要素として、人件費があります。

中国は言うまでもなく安いのはわかると思いますが、韓国も当時の最低賃金は日本の半分くらいでした。

当時担当していた製品は、日本の工場での前半工程を経て、中国の工場で完成されていました。

前半工程では日本人作業員(いわゆるブルーカラー)が働いていたため、どうしても製品1台にかかる労務費が高くなります。

一方で中国メーカーは、全行程を中国の工場で行うので、日本メーカーより安くなります。

また、工場の人件費のほか、デスクワークをする人(いわゆるホワイトカラー)の人件費も製品に乗っかってきます。

このように、工場の作業員の労務費、デスクワークをする人の人件費で、日本メーカーが不利でした。

当時の製品は1台数千円だったので、数百円の違いで失注することがざらでした。

そのため、この人件費の違いは事業継続にとって大きな要因でした。

加工費

次に価格を決める要素として加工費があります。

工場での製造時に発生する費用ですが、装置を動かすための電気代や材料代などになります。(人件費は上述したので省略)

当然ながら中国の方が日本より電気代が安いので有利です。

材料費についても、最近のほとんどの物は”made in China”なので、中国で仕入れた方が安いのです。(日本で仕入れた場合は、日本までの運送費と関税が上乗せされているため)

最新の生産設備がすべての肝だった

しかし、いよいよ核心部分に入りますが、それらを除いても絶対に勝てない部分があります。

それは、中国・韓国メーカーが最新の生産設備を導入していて、そもそも工数が日本メーカーよりも圧倒的に少ないという点です。

工数とは製品1台あたりに要する生産時間です。

これが短ければ短いほど電気代と人件費が減るのでコストがぐんと下がります。

そもそもなぜ中国・韓国メーカーが最新設備を導入できているか?というと、国がメーカーに補助金を出しているからです。

中国は政府が自国の民間企業に対して大量の補助金を与えて、競争力を高めます。

トランプ大統領も「中国は国が民間企業を支援することで、本来の実力に伴わない競争力を企業に与えて、世界のマーケットのバランスを乱している」といった発言をして、中国のやり方を問題視しました。

このように、中国は国の補助金でメーカーに最新鋭の設備を導入させ、工数を下げさせることで加工費を下げていました。

私がいたメーカーも常に最新設備導入を考えていましたが、赤字の状況でそれは難しい状況で、以下のようなループに陥っていました。

設備が古いから、提案価格が高い

提案価格が高いと、新規ビジネスを受注できない

新規ビジネスを受注できないと、資金が手に入らない

資金が手に入らないと、新規設備を導入できない

上に戻る

まさにジリ貧の状況でした。

ちなみに中国だけでなく、韓国メーカーも財閥企業で国から補助金を受け取っていたため、状況は同じでした。

品質力の違い

次に品質力についてです。

品質といえば、よく”日本の製品は品質が良い”という言葉を聞くことがあると思います。

しかし途中で中国・韓国メーカーに追い抜かれたのはなぜでしょうか?

これも実は設備の差でした。

新しい設備であればあるほど、精密な検査を行うことができます。

精密な検査ができれば、不良を発生させる個体を識別して、生産中に”不良品”として弾くことができます。

私がいたメーカーは、設備が古く、人間の目で行っていた検査もありました。

「人間の目で検査した方が綿密なのでは?」と思うかもしれませんが、人間だと作業する人の疲労や集中力の影響で検査力にムラができてしまいます。

その点、機械は設定さえすれば疲労することはないので、常に安定した検査パフォーマンスを維持できるし、性能によっては人間の目以上に細かい検査もできるのです。

 

さらに、検査を機械に頼ることは労務費の削減にも繋がります。

当然、人間が働くより機械が働いた方が、作業が速くて人件費もかからないからです。

このように最新の設備は、製品の品質を向上させ、検査コストも下げてくれるのです。

設備の違いによる品質問題

こうした中国・韓国メーカーとの設備差に気付かされたのは、お客様から工場監査を受けたときでした。

工場監査とは、お客様が下請けの製造工場に立ち入り、正しい工程で製造されているのかを定期的に確認するものです。

ある時期からお客様から、

「あなたの会社はこんな古ぼけた設備を使い続けていて、検査すら人間が行っているのですね。中国や韓国メーカーは最新設備が導入されていて、人間が一切いない完全自動でしたよ」

と言われるようになり、それ以降も製品不良で問題が起きると、「やっぱり設備が古いからだ」とお客様に責め立てられるようになりました。

コモディティ化の進展でコピーが簡単に

ちなみに設備がすべての品質を決めるかのように話しましたが、決してそうとも限りません。

製品開発における設計や、材料の選定、生産方法など、他にも品質に関わる要素はたくさんあります。

そして経験の長いメーカーほどそういったノウハウを蓄えています。

しかし、市場に普及しすぎてコモディティ化が進んでしまった製品であれば、結局は簡単にマネされてしまうのです。

その方法としては、

・他社製品を購入して分解し、設計を参考にする。(通称、リバースエンジニアリング)

・技術者が他社にヘッドハンティングされて、元メーカーの技術を流出させる。

・発注元が下請けメーカーの設計図を別メーカーに丸投げして、同じ物を安く作るように指示する。(秘密保持契約に抵触して契約違反だが、実際は横行)

などがあります。

当時私が担当していた製品も、昔は「精密機械で品質を保つことが難しい」とは言われていましたが、結局はコモディティ化が進んでしまい、中国・韓国メーカーでも十分に作れる物になってしまったのでした。

技術力の違い

最期に技術力についてです。

ここでいう技術力とは、新しい技術を用いた製品を量産化する力です。

もちろん最新鋭の実験装置や生産装置があれば、より効率的かつ高度な新技術開発が行われると思います。

そして優れた技術者を他社からヘッドハンティングすることできれば、スピーディーな技術開発も行われると思います。

そのため、両者を確保する資金力は大きなアドバンテージだとは思います。

しかし、私がいたメーカーが中国・韓国メーカーに負けたのは、別の理由もあると思っています。

保守的な日本人の性格

その理由は、日本人の性格です。

海外企業と比べて、日本の企業は石橋を叩いて渡る傾向が強いです。

重大な判断を下すときには、社内で集まって何時間も打ち合わせして決定します。

海外企業は「とりあえずやってみよう」という気概が強く、判断が早い傾向にあると思います。

当時、欧米の企業と商談をしていたときなんかは、商談中に相手から重要な要望を受けると、私の会社は出席メンバーが商談中に内輪だけでの討議を良く行っていました。

酷いときは、一つの質問に10分ほどコソコソ話をして、相手を待たせた挙句、

「その件は検討した上で後日回答させていただきます」

と返答して相手を呆れさせることもありました。

 

展示会などでも消極的な提案が多かったです。

当時、色んな展示会に参加させてもらいましたが、いざお客様から「この技術は次の商品に採用できますか?」と聞かれると、「その技術はまだR&D(研究開発)の段階なので、量産には使えません」と返答するようにしていました。

当時の会社は、展示会をあくまで技術誇示の場と考えていて、リスクを恐れて実際のビジネスには繋げようとしない姿勢でした。

そのせいで、「〇〇社(当時の会社)は技術力はあるのに、ビジネスに繋げる力は弱いね」とよく皮肉を言われていました。

新技術の量産化チャレンジをしない

当時、中国・韓国メーカーが同じ技術を先に量産化したという話をよく聞きました。

企画部にいた私は、「コストも品質でも勝てないのであれば、技術で勝つしかない」と思い、上司とともに技術部門にチャレンジを申し出ることもありました。

しかし当時、圧倒的に技術部門の方が立場が上だったため、「じゃあ問題が起きたときに企画部で責任が取れるのか?」などと言われて、新技術の量産化が進みませんでした。

”技術大国、日本”と言われているのに、こんな姿勢で良いのかと常に疑問でした。

一方の中国・韓国メーカーは、

新技術の量産化に積極的にチャレンジする

量産化過程で更に新しい技術力を手に入れる&製品が売れて利益が出る

資金の余裕ができて、新しい設備や人材を導入する

上に戻る

という好循環を生んで、どんどん成長していきました。

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まとめ

以上ですが、上記の内容を表にまとめておきます。

日本メーカー 中国・韓国メーカー
人件費 高い 安い
加工費(電気代・材料費) 高い 安い
最新設備 ・自己資金で購入するしかない ・国の補助金で導入できる
品質 ・慎重な職人気質でカバー ・最新設備により安定
技術力 ・技術誇示は得意だがビジネス化は苦手 ・最新設備により開発力アップ
・チャレンジ精神でブラッシュアップ
・ヘッドハンティングで優秀な技術者採用

これはあくまで私がメーカーの中で感じた内容ですが、多くのメーカーで当てはまるのではないかと思います。

結局、日本メーカーは中国・韓国メーカーに勝てないのか?

最期に、この記事のタイトルについてです。

悲観的な話をしたいわけではありませんが、現在の日本メーカーの状況を考えると、この先も、中国・韓国メーカーからますますシェアを奪われていくと思います。

自動車は今のところ日本企業が世界でも強いですが、電機メーカーは劣勢が続くでしょう。

実際に、日本メーカーで勤めていた私ですが、今持っているスマホはサムスンのGalaxyです。

サムスンはAppleを凌いでスマホの世界シェアNo.1で、売上高はAppleに負けていますが、世界No.2です。

そんなメーカーであれば資金力が十分にあるため、最新の設備と最高の技術者を備えることができ、安価・高品質・最新技術の製品を作れると考えています。

「韓国メーカーはちょっと・・・」と毛嫌いする人もいるかもしれませんが、かつてよりサムスンンのシェアは伸びていますし、今後、こうした流れによって家電製品も日本ブランドを買わなくなるのが当たり前になってくるかもしれません。

少量生産・付加価値競争で生き残る

ではこの先、日本のメーカーがどうすれば生き残るのでしょうか?

もし日本がこの先、コモディティ製品・量産製品で勝負ができないのであれば、それと反対の方向に舵を切れば良いのです。

例えば、伝統工芸品などの高い技術が必要で、手作業でしか作れないハイクオリティーな商品を極めるのです。

日本の人口トレンドを考えても、この先増加する可能性は低く、人件費では中国などの人口が多い国に勝てません。

であれば、そうした大量生産・コスト競争の世界から脱却して、少量生産・付加価値競争の世界で戦うしかないのです。

ちょうど私は、地方公務員になった現在、地域の伝統工芸品や地場産品と接することが多くなりました。

そのため、そういった商品を仕事の中で支援することで、日本の個性に合った商材を用いて、時代に合った戦略で日本の発展に貢献できればと考えています。

 

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